そろそろ自分の意志で社会を創る時代になってきた。
より元気な市民参加で
NPOを育てよう。
当協会は、民主主義の健全な育成をミッションとしている団体である。自分たちの周りの問題は、自分たちの力で解決するよう、できることをするというフィランソロピーが、まさに民主主義の原点である、という理念のもと、企業や個人の社会貢献・社会参加(フィランソロピー)を推進している。その受け皿がNPO であり、昨今、その役割に期待が集まっている。新聞紙上で、NPOということばが登場する機会が増えてきた。
しかし、一般の人の中には、NTT?NEC?どういう会社?という方もまだまだいらっしゃるのではないだろうか。業界内ではもう常識と思っていることが、一般社会ではまだまだ根付いていない、否、知られてすらいないことを心して、その確立・普及に尽力しなければ、と自戒をする昨今である。
NPOの支援も当協会の役割であるが、いずれの団体も財政の問題がいちばん頭の痛い問題である。
NPOとはNon Profit Organizationの略で、非営利団体と訳されるのであるが、これが誤解を生むことが多い。即ち、利益を得ない団体と解釈され、サービスは無料、働いている人はボランティア、と考えられるのである。しかしながら、組織体として活動する以上、利益を得なければ継続的に発展的に活動することは困難である。要するに、NPOとは、Not for Profit Organization, for Mission Organizationという意味なのだ。ミッションを達成するために財源を確保し、それを内部留保したり、役員などに分配するのではなく、次の活動に使うことが求められているという点が、企業等と違うところなのだ。
もうひとつ、NPOの経営でむずかしいことがある。サービスや物品を提供する相手からだけではなく、この事業活動に共感してくれた市民の寄付や、企業の協賛、財団の助成金などで財政を維持しなければならない。特に、一般市民のボランティアや寄付による支援が大きな力となる。ところが、お上依存に慣れ親しんだ日本人は、まだまだ身銭を切ることに慣れていない。しかし、そろそろ自分の意志で社会を創る時代になってきた。NPOを私たち市民の力で育てて、私たち自身が元気に愉快に暮らしていきたいと願っている。
※一人ひとりがいきいきと自分らしく暮らせる元気で愉快な社会創りを夢見て、企業・団体・個人のフィランソロピー活動を推進している高橋さんのNPO観です。
(社)日本フィランソロピー協会 理事長
岡山県生まれ。1973年 津田塾大学学芸学部国際関係学科卒業。高校教師を経て、1984年上智大学カウンセリング研究所専門カウンセラー養成課程修了、専門カウンセラーの認定を受ける。1985年〜1991年 関東学院中学・高校、心理カウンセラーとして生徒・教師・父母のカウンセリングに従事。子どもたちや教師、親と会っていて、会社の影響を色濃く受けている父親の問題に突き当たり、企業社会が変わらなければ学校も親もなかなか変われないと実感。企業フィランソロピーに着目。1991年から(社)日本フィランソロピー協会勤務。事務局長・常務理事を経て2001年6月より現職。
月刊『フィランソロピー』の発行、企業の社会貢献担当者対象のセミナー開催、企業フィランソロピー活動のコンサルテーションや企業とNPOのマッチングなどに携わり、一人ひとりがいきいきと自分らしく暮らせる元気で愉快な社会創りを夢見て、企業・団体・個人のフィランソロピー活動を推進している。
主な著書: 『フィランソロピー入門』(海南書房)、『60歳からのいきいきボランティア入門』(日本加除出版)