将来を見据えた、明確なビジョンで
社会を変えるのがNPO
今は、政府も官僚も企業も、個人まで、みんな短期思考。「今月はどうするか」「今年は」と、目先のことばかりで 5年、10年、20年先のことはほとんど考えてない。自分がどういう社会に住みたいのか、どういう国づくりがいいのか、どういう世界を創りたいのか、というビジョンがないのが今の日本がかかえる大きな問題です。私たちは「経済大国」を造った。じゃあ次は何を造るのか、という問いに答えられる人は何人いますか?私利私欲に走って既得権益にあぐらをかき 将来を考えない人たちが政治や企業を牛耳っている以上、この国は滅びます。今必要なのは、陳腐化した構造や悪い慣行などを打ち破ろうとする「熱意」と「エネルギー」。著名なアメリカの社会人類学者、マーガレット・ミードのことばを借りれば、「思慮深く、献身的な小さな市民集団が、この世界を変えることが出来る」のです。たしかに、これまで歴史上大きな変革が起きたときには必ずこの「小さな集団」から始まってます。「小さな集団」、まさにNPOそのものではないでしょうか。
個人個人が自分に何が出来るか、何をしたいのか、どう云う社会に住みたいのか、今の社会をどう変えてどう動かしていきたいのか、将来を見据えた明確なビジョンを持って、それに向かって行動するのがNPO・NGO。それには知識も能力も必要。そして「この指とまれ」で自分たちでつくりあげていく、そういうパワーこそが今、必要です。学生運動も希薄、若者の意味のある強い結束も見えない日本はピンチです。私達は目覚めなければいけません。アメリカで「フューチャー500」を立ち上げたら、「あなたがたのビジョンと行動に賛同します。」という手紙に25,000ドルの小切手が同封されていたことがありました。うれしいですよね、こういうのは。NPO・NGOが社会を変えていくためには、力をつけなければいけないし、賛同者の輪が広がることが必要なんです。
目先のことしか考えない人が日本の将来を担えますか?おかしいと思うこと、そうじゃいけないと考えることがあったら、もっともっと市民の声にしなければいけません。そして行動を興さないと何も変わらない。「何が大切なのか」、それを考え行動に結び付けなきゃいけない時代に、NPOは大きな役割を果たすに違いありません。だって外に何もないじゃないですか。

フューチャー500会長
株式会社イースクエア 代表取締役会長
三菱電機アメリカ 元会長
1935年ドイツハンブルグ生まれ。慶應大学経済学部卒業。三菱電機(株)に入社後、カナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学へ留学。経済学修士。三菱エレクトリック・セールス・アメリカ副社長、本社海外業務部長、海外第一事業部長を経て、88年三菱エレクトリック・アメリカ会長に就任、93年取締役、95年常務取締役。97年から99年まで本社常務取締役コーポレートコミュニケーション・グループ担当。滞米中、ビジネスはもとより、数々の活動を通して地域社会に貢献したことにより、92年外務大臣賞、95年日米協会国際市民賞を受賞。95年12月、米国でフューチャー 500を創立。著書に「アメリカで働くということ」「ニューエコノミー ─熱帯雨林からの4つの提言」「新・学問のすすめ−エコ経済への道」などがある。 2002年1月、アメリカで「What We Learned in the Rainforest」を出版、50,000部完売に向かってスタート。